「フロートチャックSA-C(SAN)」は、新しく気体垂直噴流方式を採用しております。、気体垂直噴流方式はクッション室にノズルより噴出する気体流を垂直気体噴流させることり、クッション室内の気体流の摩擦損失を減少させ、負圧発生の効果を増し、従来型より大幅に懸垂能力を増加させることで、保持安定元力が増し、衝撃に強く、気体消費量をほぼ半減させました。
「フロートチャックSA-C(SAN)型」シリーズは、さらに慣性力の効果を付加し、従来型より大幅に懸垂能力を増加させることで、保持安定元力が増し、衝撃に強く、気体消費量をほぼ半減させることに成功しました。
非接触搬送装置「フロートチャックSA-C(SAN)型」(図1)は、空気をガラス基板に向かって噴出することにより、ガラス基板を空中に浮遊した非接触の状態にて懸垂保持し、搬送することができます。
作動面とワーク(ガラス)との間隙が大きい場合、気体噴出部ノズル、クッション室および作動面とワークとの間隙はそれぞれエゼクターのノズル、真空室およびデフューザの機能をはたします。そのためクッション室には負圧が生じワークを引き寄せることになります。ワークが引き寄せられ作動面との間隙が小さくなると、クッション室は圧力室型エアクッション(ホバークラフト)の機能をはたし、クッション室の圧力は急激に上昇し、ワークを引き離します。このクッション室の均衡した圧力を保つ作動面とワークとの距離を自動的に保持する距離にて、ワークを空中に浮遊した非接触の状態にて懸垂保持します。
非接触搬送装置「フロートチャックSA-C(SAN)型」では、負圧発生機構として、作動面とワークとの小なる間隙を流れる高速気流によるベルヌーイ効果による負圧発生、また昇圧発生機能として前記間隙を通過する高速気流によるクッション効果を併せ持ちます。上記の効率の
良い負圧発生および昇圧作用を有するため、ナンバーワンの高負荷・低空気消費量を実現しています。
右図性能表に示すごとく、
「(A)フロートチャックSA-C(SAN)型」の
性能は、同種類の非接触搬送装置である
「(B)旋回流方式」および
「(C)従来型ベルヌーイチャック」に
比して、同じ供給空気量であれば、
2〜6倍と格段の懸垂力を発揮しています。
「フロートチャックSA-C(SAN)型」の
開発により空気消費量が大なることで懸案
であった「第10世代液晶大型ガラス基板」
の非接触搬送を可能にしています。
SA-1C (SAN)型 |
SA-2C (SAN)型 |
SA-3C (SAN)型 |
SA-4C (SAN)型 |
SA-5C (SAN)型 |
SA-6C (SAN)型 |
|
ΦDmm |
39 |
49 |
69 |
95 |
105 |
120 |
tmm |
25 |
20 |
20 |
25 |
25 |
25 |
管継手 |
M5 |
M5 |
M5 |
R1/8 |
R1/8 |
R1/8 |
外形寸法図
非接触搬送装置「フロートチャックSA−C型」理論式
本計算式は(有)ソーラーリサーチ研究所で開発した非接触搬送装置「フロートチャックSA-C型」(特許)の理論計算式である。
図1に「フロートチャックSA−C型」の概要を以下に示します。以下に用いる記号の添え字は、図1に示したAB・・を添え字として示す。
また、仮定として(1)部材との隙間やは「フロートチャックSA−C型」のパッド半径に比べ非常に小さいとする。従って、流れは一次元流れで近似できるとする。(2)ノズルOから噴出された噴流はクッション室壁面に当るか若しくは滑らかにAB面に流れる。その場合、A近傍や噴流の衝突点C近傍では渦を含む2次流れが生じると推定される。しかしながら、この解析ではこれらの影響は無視する。(3)噴流やパッド内の流れの圧縮性は無視する。
図 1
噴流の流量をとし、ノズル出口の流速を、ノズル幅をとすると、
また、噴流の出口での運動量は
流量保存則からパッド出口速度は
従ってパッド出口での運動量は
となり、パッドの大きさに比べ十分に小さなノズル幅を考えると、
先ず検査面をOABB'A'O'で囲まれる領域を取る。そして、噴流の噴出し角度をとすると、運動量の定理から
ただし、とはパッド下面ABと部材面CB'での流体運動に伴うせん断応力である。従って、Fは流体の受ける壁面からの摩擦力である。この式からとは次の関係で結ばれる。
次に、を推定する必要がある。面AA'の圧力をと仮定する。これはこの図のように噴流衝突点CがA'より内側にあると推定している。(通常は噴流内部の圧力は噴流の外側の圧力が異なる場合、それらの線形として求められる。)この仮定の元で、検査面をABB'A'で囲む領域を取る。A断面を通過する平均流速は流量保存則から求められ、
となるので、この面でのAA'断面の流入する運動量は
この結果を用いて運動量の定理を用いると、より
従って、
AB間の流速$u(r)$は流量保存則から
よって、半径rにおける運動量J(r)は
AB間の圧力を求めるために、A点から半径rまでの領域を検査面にとって運動量の定理を用いると、
従って、
この式から分かるように、であるので、p(r)は1/rとの関数として表現できる事が分かる。パッド出口では圧力がゼロであるので、パッド内部に行くに従って概略で負圧が大きくなる。
これらの結果を用いて、パッドの吸引力Sを求めることにする。吸引力は中心部分では、クッション部分では底面積がよりとなる。AB間は
よって、として求めると良いことになる。そこで、先ず、を求めてみよう。
従って、
以上の結果を整理すると、最終的には次のようになる。
従って、でのとき
ただし、である。
以上の結果から、(1)クッション室がない場合、右辺の第二項がゼロ(より)となり、吸引力が減少するように見えるが、であるので、第三項が増加する。従って、第2項と第3項との兼ね合いである。(2)壁面摩擦は吸引力を減少させる。従って、クッション室を設けることによってパッド側の壁面摩擦を減らしている効果がある。